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忘却曲線

 8月から行き始めた職場は、30代前半くらいの若い人が多い。みんな、いろんなことを知っていて、てきぱきと仕事もできる。女性が10人も集まったら、ふつう派閥ができたり反目があったり、なにが起こっても不思議ではないのだが、驚くことに、新しい職場には、そういうものがからきしない。みんなスペシャルに大人で、親切だけれど深く干渉しない人たちばかりなので、年を食った新参者としてはとても助かる。

 まぶしいなあ、と思うのは、若い人たちの物覚えのめでたいこと。記憶力の減退はつねづね感じていることだが、若い人の中に毎日いると、ことさらに感じる。

 私にも、輝かしい芸能部長の時代があった。タレントの外見や出ている番組を言われなくても、「ほら、なんだか調子のいい人がいるでしょ、あんまり好きじゃないんだけど」というフレーズだけで相手の欲していることが分かり、「ああ、寺脇康文ね」などと、微妙なラインのタレントの名前がビシバシ出てきたものだった。つくづく、なんの役にも立たない特技だったと思うけど。
 ところが今じゃ、昨日観た映画のタイトルも忘れる。役者の名前だって、すっと出てこない。マット・デイモンのことを「ハーバード大学で掃除夫をしてる数学の天才の役やっていて、タイトルが出てこないんだけど、あの映画の脚本も書いた人」と説明したり、イーサン・ホークのことを「ユマ・サーマンの元・夫で、イギリスの男優が歩けない役で共演していたアメリカ製のSF映画に出てた男優」とか言っているようなありさまだ。
 ああ、なさけない。

 でも、若いときから覚えられないものもあった。食べ物屋の店名だ。これがまったく覚えられない。場所とか食べたものはおぼろげに覚えているのだが、店名がどうもダメ。
 今、唯一(といっていいほどほかになにもない)わが頭の中にある店名が、銀座2丁目昭和通り沿いにある「なか卯」。最近、お昼ご飯はここで食べることが多い。親子丼の並、野菜カレーがそれぞれ490円。うどん類は380円ぐらいからある。銀座でこの驚異的な安さに加えて、待たされない。注文とほとんど同時に出てくる。待てない私にはおあつらえ向きの店だ。
 ここですっすっと食べて、隣のNYカフェ(だったと思うが違うかもしれない)で珈琲を飲みながら本を読んだりすると、1時間の昼休みがけっこうたっぷりと使える。

 記憶力の減退を嘆きつつも、これがなかなか、快適な毎日なのかもしれない。   
by shino_moon | 2005-08-23 00:53 | その他 | Comments(4)
Commented by 東人 at 2005-08-24 00:21 x
今日、なか卯に行って来ましたよ、篠ちゃん居ないか見回してね。
ちなみに、今日はつけ麺。
そのあと、歌舞伎座の角のプロントにときどき行きます、二階がいいですよ。それでマガジンハウスの二階に外国の雑誌コーナーがあって、ここもときどき寄るコースです。その近くに、小さいけれど、品揃えのいい本屋がありまして、ここも寄ってます。付け加えて、俳句と映画と歌舞伎の本なら奥村書店。これはNYカフェから真直ぐ松屋方面へ50m程のところにあります。
そうしてるうちに、ぼくとすれ違うことになるでしょうかね。

ますます快適な日日を。
Commented by 六番町 at 2005-08-24 10:33 x
お仕事お疲れさまです。アインファナルアフェア2は、あの晩途中から見れました。
若い頃の二人を若手男優が演じているのだが、これが妙に似ていて判別がつきにくい。顔の造作や髪型もそうだが、雰囲気が似ているんだなあ……。しかしこれも記憶力減退の言い訳かも。モー娘自体もからきしダメだが、独立した二人組の小さい子達がいるでしょ?あれは右が左に行ったらもうわからん(オヤジレベル)。名前では最近、小林麻美を出すのに2日がかり。リチャード・ギアに一晩。これってビジュアル系の仕事をする者としてやばくない〜? ヤレヤレ。
Commented by shino_moon at 2005-08-25 13:08
東人さま、こんにちは。
今日は雨もよいなので、出かけないで職場の中で昼食をとっています。
事務所の入っているビルの1階がコンビニなので、何かと便利です。
マガジンハウスの近くの小さな本屋って、東京ブックサービスっていうんでしたか、私も時々利用します。意外に品揃えがいいし、デザイン関係の書籍が充実していたり、特徴のある書店ですよね。
奥村書店、知ってます。ここ最近はご無沙汰していますが、俳句の本もあるんですね。歌舞伎座の角のプロントともども、今度是非立ち寄ってみます。近々、東人さんとばったりお会いできそうな気がします。
Commented by shino_moon at 2005-08-25 13:23
六番町さま、こんにちは。

>若い頃の二人を若手男優が演じているのだが、これが妙に似ていて判別がつきにくい。顔の造作や髪型もそうだが、雰囲気が似ているんだなあ……。

『1」の最初にちょっとだけ出てきたとき、私もあのふたりが判別できなくて、ちょっと苦労しました。『2』は大変そうなので、とりあえず『3』のDVDが出たら先に見ようと思っています(^^;)。
やくざの親分のエリック・ツァンと、刑事の親玉のアンソニー・ウォンがいい味でしょ? アンソニー・パーキンス、アンソニー・ホピキンス、アンソニー・ウォンの3人で「アンソニー3怪優」なーんて、香港映画ファンしかそんなこと言いませんけど(笑)。
この話、前にしたような気もします。。。すべて忘却曲線のせいですので、どうかお許しを。


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