そろそろ桜も散り始めた昨日、花見とランチを兼ねて中目黒へ。
中目黒はほぼ毎月句会で訪れているけれど、花見の時期に目黒川を歩いたことがなかったので――正確には昨年句会の後、夜桜を見に目黒川に出かけたのだが、前進も後退もできないほどの混雑に驚いて、早々に退散したのだった――平日の昼に行ってみたら、月曜で天気も良くなかったせいか、楽勝だった。目黒川を覆うほど伸びて被さる桜が、なかなかみごとな風景だ。
目黒川を池尻大橋方面に向かって歩き、首都高速にぶつかるあたりでゆっくりランチをしたあと、池尻大橋駅から帰宅しようとさらに歩く。東京に住んで30数年、でも池尻大橋は初めて来たなあ、と感慨深く歩いていると、なにやら見覚えのある巨大な円形の建物が現れた。あれ、もしかしてこれは、先月吟行に来た空中庭園では!?池尻大橋駅、初めてじゃないじゃん。先月降りた駅がまったく記憶に残っていない。もしかしたら、意識を失いながら生きているのかもしれない。
目黒川の桜は植樹してから50年以上経っている古木。そろそろ寿命が近づいているのだそうで、中が空洞になっていて倒木の恐れのある木の伐採が始まっているそうだ。同じ頃に植えると寿命も一斉に来るから、あるとき突然、花見の名所から桜がなくなる、という可能性もあるわけだ。
中央区の浜町沖に「中洲」というところがあるのだが、江戸時代、月見の名所として埋め立てられたここは、一度廃れ、明治時代に再度栄え、再び廃れ、と何度も栄枯盛衰を繰り返している。歴史は「名所にも流行り廃れがある」ことを語っているのだ。
現代の花見の名所の数十年後を見てみたい。