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「草間彌生 わが永遠の魂」展

新国立美術館で「草間彌生 わが永遠の魂」展。今月いっぱいのチケットをいただいていて、ギリギリ間に合った。

これだけの数の作品が展覧される草間彌生展を観るのは初めてで、しかもまだ退院間もなくて、これを観てどう感じるのか、自分でも興味があった。

下手に感想を書くよりも、身体の反応がなによりも正直だ。なんという心地よさなのだろうか。もしかしたら疲れるかもしれないと思ったのが嘘のように、私は草間彌生の絵の海を泳いだ。いくら見ていてもまったく疲れない。でも、元気になる、というのではない。溺れるわけでもない。ただ、水中の魚のようにスイスイと泳ぎ、ときに眺めながら笑ったりもできるのだ。

それは、草間彌生の心が私に近いからなのか、あるいは遠すぎるからなのか、それも分からない。

ただ、ひとつ感じたことは、草間彌生の作品には「身振り」がない。人間も、またその感情も自然の一部だとしたら、草間彌生は自然と痛烈に繋がっていて、彼女はそれを、筆と絵の具で、私の眼前に描き出してくれる人なんだ、ということ。

彼女はもしかしたら「次はこういう作品を描きたい」という意思確認を経ることなく、毎日、かなりの長時間、感情の赴くままに絵筆を握っているのではないだろうか。そんなこと、常人にはできない。でも、きっと彼女はできるのだ。そういう人なのだ。
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「わが永遠の魂」と題された作品のなかの1枚でもいい。それを飾るだけの部屋が我が家にあったら、そこに置いて、毎日眺めていたい。それでもきっと飽きないだろう。

こんなにも私をリラックスさせる絵を、でも、草間彌生は「闘いながら描いている」と語る。その言葉の異様な強さにも、衒わない彼女の資質を感じる。
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by shino_moon | 2017-03-31 20:50 | 展覧会 | Comments(0)


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