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ブレードランナー2049(2017年)

『メッセージ』もそうだったけれど、ドゥニ・ヴィルヌーヴという監督のつくる映画は語り口がゆったりしている。悪く言うとスピードがない。『メッセージ』はそれでもまだ許せたけれど、今回はそれが悪く作用してしまったと思う。この話に2時間40分という尺は必要ないでしょ。この映画を観ると、リドリー・スコットのメリハリの効いた作劇力に改めて気づく。

内容的にも新規のファンを呼ぶことはできまい。前作鑑賞必須。まるっきり前作のストーリーに乗っかっていて、しかも、話の丈を小さくしてしまっている。『ブレードランナー』は人造人間を通して人間存在に言及する普遍性や深さを備えていたし、ほのかな詩情もあった。今作は、そのデッカードの物語を、人間対人造人間(あるいは、新型人造人間対旧型人造人間)のありきたりな対立の構図のなかに取り込んで、言ってしまえば、部品のひとつとして扱っているように見える。そんなつまんない話にしてしまうわけ?

これが、現代社会を反映しているのだとしたら、ほんとうに暗い話だ。

ブレードランナーの「記憶」の扱い方も、ホログラムみたいな彼女の描き方も、そして、主人公のデッカードに対する感情も、長く引っ張るわりには薄くて、何度も「長いよ!」と呟きそうになった。

まあこれは、あくまでも、前作のオタクである私の個人的意見です。もう一度観たら印象は変わるかもしれないけれど、もういちど観たいと思わせる長さではない。でも、4時間弱の『クーリンチェ少年殺人事件』は2度観て、それでももっと観たいと思ったんだよなあ。

口直しに『ブレードランナー』(1982年)を観ようっと。

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォードほか


by shino_moon | 2017-10-30 12:42 | 映画(ハ行) | Comments(0)


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