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ばったり。

 今朝、仕事に出かけるべく地下鉄に飛び乗って、座席にすわり、やれやれとふと隣を見たら、友人(俳号柚女さん)が坐っていた。あれまあ。思わず「あら、やだ」と声が出た。すると、本を読んでいた柚女さんが顔を上げ、私を見て「あら、まあ」。思わずふたりで笑った。

 ばったり、というのがときどきある。
 先日は、地下鉄市ヶ谷駅のエレベーター付近で「しのちゃ~ん」という声がするので、「う、私をこう呼ぶ人は限られている」と声のした方を探したら、俳号貞華さんが手を振っていた。貞華さんとは、中1週間ほど空けて、同じ市ヶ谷駅でまた会った。いつも会うところとは別の場所でばったり会う、というのは、なんだか不思議な気持ちのするものである。

 さらに、このブログでも話したことだが、友人の小林さんとは、映画館でばったり会ったことが2度ある。劇場の数、公開される映画の数、公開日数、その他もろもろを考えると、映画館で会う確率はめちゃくちゃ低いと思うのだが、こういうこともあるのだ。

 しかし、私がこれまでに体験したばったりで、一番すごいと思ったのは、東京の知人との新大阪駅でのばったり、かもしれない。
 その知人は、かつて勤めていた職場と同じフロアにあった法律事務所の弁護士センセイだった。職場は違うが、年齢が近かったせいもあり、廊下やエレベーターの中で顔を合わせたときなんかに軽口をたたき合うようになった。要するに「おともだち」になったわけである。
 私はやがてその職場を辞め、別の職場に移ったので、センセイと顔を合わせることがなくなっておそらく5、6年は経っていた。そのセンセイと、なんと新大阪駅の新幹線ホームでばったり、である。
 そういえば、くには関西だと、かつて聞いたような気がする。正月4日、お互いに帰省先から東京へ戻るところだった。とはいっても、新大阪駅は私の故郷の最寄り駅ではなく、この日はたまたま、新大阪駅で途中下車し、始発列車に乗り換えて、東京まで坐って帰ろうと思ったのだった。「たまたま」と「ばったり」の連続技だったのである。
 さて、意外な身軽さで自由席車両の座席を2つ確保してくれたセンセイと、他愛もない話をしながらの3時間半、いよいよ東京駅に着いたとき、センセイの言った言葉が忘れられない。「八重洲ブックセンターで探したい本があるから、1時間ぐらい待ってくれたら、いっしょにお茶飲んでいかない?」
 い、いちじかんかあ……。親切なんだか失礼なんだか、よく分からない。もともと、ちょっとそういう人ではあった。でも、きっと親切だったのだと思う。一瞬考えた後、私はこの親切を慎んで辞退した。1時間も待つのは、やっぱりイヤやし。
 このセンセイとは、後日、銀座でまたばったり。よくよく縁があるのだろう。

 ところで、同じ人とのばったりは、私の場合、2度どまりで、3度というのはいまだかつてない。3度となると、やはりそれはもう、偶然とは少し違うものになってしまうのだろうか。 
by shino_moon | 2005-06-07 00:58 | | Comments(2)
Commented by 東人 at 2005-06-16 00:03 x
かなりばったり度の高い私ですが、たとえば、滅多に人の行かない温泉へ行こうかと、御岳山の途中にある濁河(にごりご)温泉へ行った折。湯船に浸かっていたら、少し離れた隣に湯気にかすんで、どうも見覚えがある頭のかたち。しばらく考えていた(むこうも考えてたかな)。お湯を上がったら、あとから上がってきたその人、先週、池袋の飲み屋であった人ではありませんか。「なんでこんなところに」、とお互いに言い合ったのでありました。
Commented by shino_moon at 2005-06-18 00:30
東人さん、こんばんは。
飲み屋さんで会った人と、今度は温泉でばったり。
どちらも日常的に行くところではないですから、
これは相当なばったり係数ですね。
しかも、1週間の間に。
なにかこう、そのとき、その方と東人さんは、目に見えない
同じ気流の中におられたのかもしれませんね。


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