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ゴーギャン

昨日の土曜日、3月に亡くなった知人のお墓参りに、亀戸へ。こよなくお酒を愛した人だったので、ワンカップの日本酒を買って持参し、墓前に供えてきた。
墓地に行く道の辺に、白曼珠沙華が咲いているのを発見。白い花は初めて見たのだが、赤い花ほど禍々しさがなく、かたちの面白さがフォーカスされる感じがする。意外にメカニックな形をしている花なんだな。
墓参の最中に足首を蚊にさされたらしく、痒い。

帰り、「船橋屋」でクリームあんみつを食す。蜜豆に餡、アイスクリーム、くず餅が入っている豪華版。もともとくず餅がこの店の本業だ。「くず餅一筋200年」。創業が文化年間という老舗で、店構えといい、商品の並ぶショーケースといい、ぴかぴかしたところのまったくない、古びた佇まいが落ち着く。

その後、竹橋へ。近代美術館で開催中の「ゴーギャン展」を観にいく。
思うのだけれど、ゴーギャンという画家に対する惹句を過剰と感じるのは、どうしてだろうか。「野性の目覚め」とか「人間存在への哲学的な思想」とか、余計なお世話、という感じがしてしまう。
ほかの画家に対しては、ここまで思わないのに。
ゴーギャンの絵には、観る者を、ただ虚心に眺めていたい、という気持ちにさせる何かがある。

「ノアノア」と題された版画の連作が面白かった。同じ版を使っても刷る人が変わると、こうも違うのか。それに触れる人の個性によって、オリジナルの魅力がさまざまに変容してゆく。
版画の版というのは、どこか「俳句」に似ているような気がする……のは、私だけだろうか。
by shino_moon | 2009-09-20 02:15 | 展覧会 | Comments(2)
Commented by のよ at 2009-09-20 06:30 x
そうなのよね~! 過剰な惹句や、分析、カテゴライズが多すぎて、虚心になりたいのになれない・・・。それで、ゴーギャンがうすっぺらいファッションのようになってしまう。日本人って美術に限らず、芸術の受け入れ方が下手だなあと思うんです、…なんてね、偉そうに(汗)

曼珠沙華、赤と白でそんな趣があるんですね。
今、wikiを見たら、英名spider lily だった! こりゃまた趣のない命名ですね!
Commented by しの at 2009-09-20 17:41 x
のよさん、チケットありがとう!行ってきました。楽しかったです。
人がもう少し少ないとさらにいいんだけど、それは贅沢というものだねw
なんだかね、いまは情報が多すぎるんだと思う。情報が多すぎると、感覚は鈍るよね。
竹橋で今年の初め頃だったか、情報がほとんどなにもない状態で、ふらっと写真展を一緒に観に行ったよね。あれは楽しかったなあ。人がほとんどいなくて、ガラガラで、ゆっくりできたし。

>英名spider lily だった!

なんと、見えたまんまなんだねw でも、蜘蛛と百合と、両方をイメージするので、ちょっと面白い。 


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