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スピード好き:鈴鹿サーキット

一瞬、メキシコから離れますが。

一昨日、鈴鹿サーキットへF1を観にいった。夫が四日市に住んでいなければ、たぶん一生足を運ぶことなどなかった場所だ。
っていうか、夫が四日市にいる間に、彼の地でできることはすべてする、といわんばかりの行動力である。こういうときのミーハーな行動力ときたら、夫と私の息はぴったりなのであった。

とくにF1に深い興味があるわけではないけれど、高速で何かが走るのを見るのは好きだ。フジテレビが全レースの中継をしていた頃は、よく見ていた。ちなみに、競馬中継も好きである。たぶん本能的に、私自身も乗り物の運転が好きなのだろうと思う。今の場所に引っ越して、高い駐車代を払うのがイヤで車を売ってしまったが、車のあった頃はよく運転していた。苦にならなかったし、けっこう飛ばし屋でもあった。
運転の下手な人の車に乗ると、ちょっとイライラするタイプでもある。

それはさておき。
F1である。土曜日の土砂降りで日曜日に延期になった予選の開始が午前10時、決勝が午後3時というタイムテーブル。われわれは、朝8時10分頃に夫の家を出てサーキットに向かった。車で30分ほどの距離だけれど渋滞を避けて車はやめ、電車で最寄り駅まで行ってとぐろ巻く長蛇の列に並ぶこと50分、ようやっとバスに乗り継ぎ、バスを降りてからサーキットのなかの座席まで延々歩くこと40分。指定席に座ったのは、10時40分頃。
すでに疲れていた。

予選は11時過ぎに終わり、そこからさらに待つこと4時間。空は昨日の土砂降りが嘘のようなピーカン。日焼けがすでに死に等しく、熱中症と隣り合わせの年齢に達している私は、木陰と珈琲を求めてサーキットの中を徘徊したが、広大な土地の真ん中に建てられたコンクリートの牙城には、木陰どころか腰掛けるベンチすらなく、熱い珈琲を供してくれる店もなく、考えてみたら、サーキットへ腰掛けに来る人などいるはずもなく、客の大半は若く、炎天下に自由に腰を下ろして弁当を広げている。食べるものやグッズの店は、これでもかというほどあるのだ。でも、ベンチがない。
どうやら、「嗚呼、木陰に座って珈琲が飲みたい」と思っているのは、私だけのようだ。

そういえばその前日、東京駅構内でも、同じことを感じたのだった。新幹線の指定が1時間後の便までとれず、駅構内の地下でゆっくり座って本でも読もうと喫茶店を探したが、ない。舌の肥えた日本人を満足させる「美味しいもの」を売る店はやまほどあるのだ。でも、ゆっくり座るところがない。
モノはもういいから、ゆっくりできる場所をくれ。

話がどんどんコースアウトしてゆく。
F1である。木陰も珈琲も諦め、アイスクリームを食べて階段の陰にお尻をおろして休み、座席に戻った。が、待てども待てども、徘徊の途中で別れた夫が帰ってこない。なにをしとんかいな、と少し気にかかってきた頃、携帯に夫から電話が入った。「なにしてんの?」って、それはこっちのセリフさ。あんたこそ、なにしてんの?
「あ、おれ、席、間違えてる?」思いっきり間違えてますともさ。お互い、中年ですなあ。

しかしながら、決勝の1周目はやっぱりすごかった。われわれの席は第1コーナーを曲がって少し来たところだったのだけれど、スタートしたばかりの高速車がわーっと突っ込んでくる迫力は、テレビでは分かりません。鈴鹿はコースが狭いので抜きにくく、予選の順位が決勝で変わらないレースが多い。今回も、マシンに優れた「レッド・ブル」が1,2位でスタートしてそのままフィニッシュ。夫に言わせると「抜きつ抜かれつのないF1は基本的に面白くない」のだけれど、まあこれは、そういうものなんだから、ね。

私は延々たる50数周を、ほとんど退屈することなく観戦できた。知っているドライバーはミハエル・シューマッハだけだったが(彼は1度引退して、今年からまた復帰している。結果を残せないのでクビ寸前だそうだが。。。)、日本人ドライバーが二人もいて、二人とも完走。しかも小林可夢偉(かむい)は7位入賞で、盛り上がった。ちなみに「可夢偉」は本名だそうで、親はきっと「カムイ伝」のファンだったに違いない。

騒音は嫌いだけれど、近づいたり遠ざかったりするエンジン音にはわくわくする。何の役にも立たないものに、莫大な費用と時間を投入する。思えば、これほどエコから遠いスポーツもない。あらゆる意味で贅沢だ。でもまあ、こういうものがあってもいいじゃない。

根がスピード好きなんだな、やっぱり。




by shino_moon | 2010-10-12 11:38 | | Comments(4)
Commented by のよ at 2010-10-12 23:07 x
旦那さんの転勤は、予期せぬ贈り物をたくさんもたらしてくれてるね。
長い結婚生活の中の数年のコースアウト、なんだか楽しいなあ。

シューマッハって、マッハでシューっと走るからこういう名前なのかなって、いつも思うんだけど…。

スピードは怖いけど、あるラインを超えると快感になるものだね。

とりとめないコメントでした(笑)

Commented by shino_moon at 2010-10-13 01:06
のよさん、こんばんは。

>予期せぬ贈り物

まさに、満喫状態で(^_^;)
ダンナが転勤先でストレスが溜まったりしない人で、ほんとよかったっす。

シューマッハって、F1ドライバーになる人のための苗字みたいだよね。弟もF1ドライバーになったし。
F1を見はじめた頃、彼は20代前半だった。それが今や41歳。いやはや。
セナが事故死してから、あんまりF1を見なくなってしまったのでした。
Commented by エリソン at 2010-10-13 10:41 x
F1観戦、ご主人と仲良くなんて羨ましいです。
確かに転勤はいろんな地域を探れるから利点も多いですね。

パリの郊外に小さな屋内サーキットがあり、F1もどきでタイムを争える
コースには2度ほど行きましたけど、ホントのF1は楽しいでしょうね!

でもしのさんがスピード狂とは以外・・・わたしも昔は高速150キロ
出してましたけど今はのんびり運転、これはきっと歳のせいかも、笑。
Commented by shino_moon at 2010-10-14 08:25
エリソンさん、おはようございます。
ダンナの赴任先を訪ねることが気分転換になっているお気楽妻です(笑)。
目の前の景色が変化することが好きなのかもしれません。
車の運転が好きなのも、そのせいかも。

>わたしも昔は高速150キロ出してました

エリソンさんこそ意外。いつも優雅な人なのに!
運転しなくなってから、私も猛スピード車の助手席に乗っているのが
少し怖くなりました。
お互い、若かった、ということでしょうか(笑)。


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