始まりは昨年の11月3日。竹橋の近代美術館の常設展で、松本竣介(1912-1948)の「Y市の橋」に出会った。
一目見たとたん、「あ、好きだ」と思った。ふだんなら常設展まで見ないのだけれど、この日はなんとなく気が向いた。それまで竣介の「しゅ」の字も知らなかったのに、「縁がある」というのはこういうものかもしれない。
驚いたのは、世界の名画の数々が、まるでご近所のアトリエに置いてあるようなさりげなさで静かに並んでいたことで(近代美術館、恐るべし)、それでも、「Y市の橋」は、この日見たどの絵よりも強く印象に残った。
美術館に行くとたいがい絵はがきを買う。私は「Y市の橋」ともう一枚、あまたの中から好みの絵はがきを1枚選び、その画家の名前を確認してまた驚いた。
「建物」というタイトルのこの絵もまた、竣介だったのだ。
ほかの絵も見てみたい。自宅に帰り、すぐさま竣介の絵が見られる美術館はないかと調べた。すぐに、松本竣介の作品をコレクションしている美術館が2つ見つかった。桐生の大川美術館と、盛岡の岩手県立美術館。
好きになったらまっしぐら、である。
よし、年が明けたら桐生へ行こう。
と、そのとき決めた。