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映画館でこの映画の予告編をご覧になった方には分かると思うけれど、例えば、ストーリーだけを話そうとすると、とても通俗的で、少女漫画のようで、この映画の良さをうまく伝える自信がまるでない。だから、とりあえず、これだけは言っておきたいと思う。
ストーリー重視で映画を観る方、映画にドラマを求める方には、この映画はオススメできない。この映画の中で起こる出来事は、まるでリアルではない。 実際、映画の中で、主人公の朝子は、恋人の麦(ばく)とのなれそめを、女友だちから「そんなマンガみたいな出会い方ってある?」みたいなことを言われているのだ。でも、それだけでは終わらない。麦が突然姿を消して数年後、朝子は、その麦とタイプは正反対だけど、顔はうり二つの亮平に出会ってしまう。もう笑ってしまうくらい、荒唐無稽のオンパレード。 ところが、面白いことに、そうした出来事のなかで描かれる朝子の行為や心情は、とてもリアルなのだ。昔の恋人にそっくりな男が登場して「好きだ」と言われる。それって怖いよね。そっくりなことも怖いし、似ているけれど本人ではないところも怖いし、またもや恋人になってしまいそうなことも怖いし、姿を消した「麦」の不在も怖い。それは漠然とした、うっすらとした怖さだけれど、ふつうならば、決してくつろぐことのできない「揺らぎ」が心の中に生じてしまう、はず。 その「揺らぎ」を、この映画は描こうとしている。朝子役の唐田えりかは、亮平とのシーンのなかでお人形さんのようにきれいだけれど、ぽつん、とした佇まいをしていて、どこか不安そうに見える。ここではないどこかを見ている。それはおそらく、麦と亮平(東出昌大の二役)の「すき間」、似ているけれど違う「ずれ」から目をそらすことができないでいる姿だ。麦の不在が、亮平の輪郭を遠ざけてしまうのだ。 だから、映画の後半で起こる、朝子がとった行動に、私は驚かなかった。ホラーのように残酷だけれど、そうするしかないじゃないか、と思った。痺れた足を触ったときのような、実感から遠い心の状態で生きてゆくことは苦しい。あのとき、朝子が「行動」したとき、この映画の中で初めて、朝子の「生きている表情」を見たような気がする。朝子の顔が筋肉でできていることに気づいたように思う。 私にはこんなふうに、この映画は面白かった。でも、ストーリーだけを追うと、最初から最後まで「少女漫画」的展開としか思えぬまま終わってしまう怖れもあるのが、これまたこの映画なのだ。その紙一重感はけっこうスリリングで、ストーリーではなく映像を信じて欲しい、というしかない。 監督:濱口竜介 出演:東出昌大、唐田えりか、瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉、渡辺大知、田中美佐子 ほか ▲
by shino_moon
| 2018-09-19 17:22
| 映画(ナ行)
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